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zoom RSS 後編: さようなら、子鹿のマチルダ!

<<   作成日時 : 2011/08/05 21:34   >>

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5月に我が家の庭でレスキューした子鹿のマチルダを、その後は仕事で外出するポールに代わり、私が全ての面倒を見ることに。。。当初は3時間ごとに動物用のミルクを作ってあたえ、それこそ生後間もない赤ちゃんがいる母親のような心境でした。その後ミルクと同時に草を食べるようになってからは、ケージの外に連れ出し一緒に散歩。「マチルダ!」と名を呼べば、遠くからでも勢いよく走って来るようになりました。

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ある夜、午前3時頃に激しい雷雨の音で目覚めた私は、急いでマチルダの様子を見に外へ。生まれて初めて嵐を迎えた彼女はおびえ、ケージの中を走り回っています。ミルクを与え、「これは嵐といって明日になれば終わるから、なにも心配することはないのよ」と言い聞かせながら撫でると、落ち着きを取り戻しました。ミルクを飲み終えたので離れようとすれば、「お願い、怖いからもう少しそばにいて」と言わんばかりに鳴くマチルダ。レインコートで覆いきれない私の足下はすっかりずぶ濡れ状態なものの、マチルダを抱き寄せ、彼女の気がすむまで撫で続けていました。

見事に晴れた翌朝、ポールに夜中の出来事を話すと、「熟睡していてぜんぜん気がつかなかったよ。それにしても朝起きるのが苦手な志野が、飛び起きてマチルダの面倒を見たとは感心だ」と驚きの顔。。。

またある日は、散歩に出たマチルダが暗くなっても帰って来ず、朝を迎えても戻らない彼女を心配し、裏庭の森の中で彼女の帰りを祈り続けました。しばらくすると薮の中でガサッと音がし、姿を現したマチルダ。「やっと帰って来た!」と喜びの声を上げたのも束の間、渓谷のような裏庭は急な坂になっているため足を滑らせたのでしょうか?なんと彼女の前足が折れているではありませんか!

ようやく森に還れそうだったマチルダですが、折れた骨が悪化しないよう、再度ケージの中で面倒を見ることに。。。もともとこの界隈では鹿のレスキューが禁じられているため、獣医に連れて行くこともできません。それでも、どこか鹿などの手当をしてくれる施設がないものかとインターネットで色々と探し、遠く離れた野生動物保護団体に電話をかけて聞けば、「鹿は受け付けていません。骨折して手に負えないようなら、警察に連絡すれば銃殺しに来てくれますよ」との返事が。。。犬用のヘアサロンやスパはあっても、鹿は命さえ尊重されないのかと、やりきれない思いがこみ上げて来ます。私とポールは、「それならマチルダが元気になるまで、私達がなんとか面倒を見よう」と、板とテープで彼女の足を固定し、折れた骨が安定するのを待つことにしました。

その後は、マチルダに代わって私が森に入り、彼女が好む草を採る日々が続きました。時には汗だくに、時には沢山の蚊にさされ、また時には渓谷でしりもちをつきながら、それでも可愛いマチルダが喜んでエサを食べる姿を見ると、そんな苦労も吹き飛びます。さらには、母鹿が子鹿の排便を促すためにおしりの穴を撫でることを真似しながら、「マチルダが今日はいい糞をした!」と喜ぶ自分に、東京でハイヒールしか履いたことのなかった私がずいぶん変わったものだと実感したりも。。。

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また、当初は禁止事項である鹿の保護を隠していた私達ですが、次第に寛大な近所の人達の間でマチルダはアイドルのような存在になり、可愛い彼女を一目見ようと、子供達を連れて訪れるファミリーもありました。

「私達は8月にジョージア州に行くから、それまでには離乳して森に還れるといいのだけど」と言いながらも、このままずっとマチルダがそばにいてくれることを願う自分もいました。しかし野生の動物をペット化することは無意味ですし、人間から離れて自由に生きるのが彼女本来の姿に違いありません。

やがて7月も終わりを迎えたある日、、、まだ完治とは言えないものの、以前と同様にジャンプし、駆け巡ることができるまでに回復したマチルダは、初めてケージを頭で押し、外に出たがる仕草をするようになりました。ポールは「It's time(今がその時)」とつぶやき、彼女をケージから出します。すると思い切り駆け出したのち、ふと立ち止まって振り返り、私達をじっと見つめるマチルダ。。。眩しい朝陽が彼女をスポットライトのように照らし、私達は別れの時が来たことを悟りました。

そのまま森の奥深くへと走り去ったマチルダが、その後姿を現すことはありません。でもいつか、あの愛らしい背中の斑点が消える頃、大人に成長したマチルダと再会できるような気もします。

沢山の想い出をくれたマチルダとのかけがえの無い日々、、一生忘れることはないでしょう!!!


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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
shinoさん、こんにちは。
マチルダとshinoさんのツーショットにぐっときました。
たくましく生きていってほしいですね!
sasajun
2011/08/06 00:17
出会いから別れまで、短編映画みたいなお話でしたね。。​。
Makiko
2011/08/06 04:58
たくさんの愛情を注ぎ愛を貰ったマチルダとの別れの後に​、涙を流す日もあったのではないでしょうか…。美しいエ​ピソードに感動しました。
Yukari
2011/08/06 04:59
さみしい。泣けて来ます(;´Д`A
でも、物凄い価値のある経験をされましたね。
Yumiko
2011/08/06 23:06
Makikoさん、マチルダとの別れは最初から分かって​いたことですが、やっぱりまだ寂しいです。全部読んでく​ださってありがとう!
Shino
2011/08/07 00:10
Yukariさん、実はブログを書きながらつい涙ぐんで​いました。心温まるコメントをありがとうございます!
Shino
2011/08/07 00:11
日曜の朝から激しく号泣。志野さん、it's time to publish a children's book.われわれはこのすばらしい愛を必要としていま​す。
Hiroko
2011/08/07 00:12
おぉHirokoさん、泣かせてしまいましたか ! 日本の親友が絵本作家なので、いつか彼女と共作できたら​いいなと思ってます。彼女の作品、よかったらHirok​oさんの可愛い姪御さん達に読んでいただいて下さいね。http://www.ehonnavi.net/au​thor.asp?n=1909
Shino
2011/08/07 00:12
Sasajunさん

コメントへのお返事が消えてしまったので、もう一度!

>マチルダとshinoさんのツーショットにぐっときました。

短い間に沢山の写真を撮ったんですが、これが一番のお気に入りです:)

>たくましく生きていってほしいですね!

子鹿は本来なら母鹿と1〜2年は一緒に過ごすそうなので、まだ幼いマチルダがたくましく生きていってくれることを祈るばかりです!
Shino
2011/08/07 00:18
Yumikoさん

>物凄い価値のある経験をされましたね。

そうですね。面倒を見ていたのは私達ですが、むしろ沢山の喜びと愛をくれたマチルダに感謝です。子育て中のYumikoさんも、物凄い価値のある経験をされていますよね!
Shino
2011/08/07 00:25
マチルダ、その後どうなったのかずっと気になってました。ついに森に帰っていったのですね。。。
それにしても感動的なお話!志野さんらしいなと思いました。そしてマチルダの可愛いこと!純粋な目をしてますね。絵本から飛び出してきたみたいです。自分の名前もちゃんとわかるんですね。志野さんのところで過ごした日々をマチルダが忘れずにいつか再会する日があったら。。。それこそ象のエレナみたい。心温まるお話ありがとう
Eve
2011/08/08 13:00
Eveさん

純粋な目、、本当にそうですね。あの目に何度癒されたことか. . .

象のエレナ! 数あるガイアシンフォニーの逸話の中でも、一番好きなストーリーです。エレナのように、マチルダが私達のことを覚えていてくれたら、感動して泣いてしまうでしょう!Eveちゃん、こちらこそいつもブログを読んでくださってありがとう!
Shino
2011/08/10 03:21

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